2020年は、コロナの影響で、コンサートなどが激減しました。
そして、録音された音楽は一層身近なものになってきています。
みなさんは「録音と生演奏ってどう違うの?」ときかれたら、 なんと答えますか?
今回は録音と生演奏の違いと、 生演奏の魅力についてお伝えしたいと思います!
録音された音について知ろう
絵や物などと違って、音楽は形に残りません。
生まれたとたん、消えてしまう音。
これを捉えるには、音を何かに「固定」する必要があります。
レコード、CD、ハードディスク、音楽プレーヤーなどなどです。
これらは、音が生み出す振動を、なんらかの形に変換しています。
レコードであれば、振動をレコード盤の溝に「変換」 してるそうです。
CDなどは、振動を電気信号に「変換」しているそうです。
なんだか難しい話ですが、この、生の音からデジタルへの「変換」 に、非常に重要なポイントがあります。
アナログとデジタル
その「変換」の話ですが・・
アナログをデジタルにするということは、
今まで繋がっていた音を、 0と1の電気信号に分解することだそうです。
分かりやすくすると、こんな感じです。
- なめらかな曲線がアナログ、
- レゴブロックで作った曲線がデジタル
このレゴで作った状態が、
アナログにあった音を、デジタルが切り捨ててしまっている状態、
ということです。
切り捨てられてしまうのは、「倍音」です。
この倍音は、レッスンで話題にしたり、練習されている方も多いですね。
倍音は、音の豊かさを決めるための重要な要素です。
つまり、デジタル録音された音は、生音よりも、音の豊かさの部分で不足することになります。
(技術の進歩で、今日では普通に聴く上では全くと言っていいほど気にならなく なりましたが…)
結果として、実際に生音を聴く方が、
録音に比べ、より深く音楽に触れることができます。
ちなみに、 これはCDよりもレコードの方が良いという主張にも繋がっていま す。
レコードの方が、振動を物理的に保存、 再生するのでCDよりも若干音の幅が広いそうです。
五感で感じる、生の演奏
音の豊かさ、倍音が云々、と言われても、
なんとなくしっくりこないかもしれません。
生演奏には、もっと大切な魅力があります!
それは、生演奏では音楽を五感で感じることができる、 ということです。
コンサート会場にいくと、まず演奏者や演奏している様子を「 見る」ことになります。
会場の匂いも「嗅いで」います。
座ったシート、手に持つプログラムの「触り」心地があります。
会場が、飲食できるレストランやカフェなら、
その時の「味」もありますね。
そして、音楽によって「聴覚」 が刺激されていることは言うまでもありません。
多くの感覚を結びつけて音楽を鑑賞すれば、
かなり私たちの記憶に残ります。
また、私たちのもつ五感がフル活動した状態で、
音楽に接することによって、脳の活動が活発になります。
生演奏は、音楽への深い没入感を経験することができるのです。
録音された音楽を聴くときは、「聴覚」「視覚」にとどまり、 脳の活動も限られています。
コンサートでの特別な空気感の正体は
例えば、オーケストラが、数日間にわたるリハーサルを行い、 演奏の準備が整い、本番を迎えたとします。
準備万端でも、実際に本番でどういった演奏になるのか、 誰にもわからないのです。
サッカーの試合前と同じように、「結果」が出ていないことが、 コンサートの臨場感です。
そして、本番になると、すべての演奏家が、 全身全霊を込めて演奏します。
独特な緊張感が、奏者の集中力を高めます。
すると、リハーサルでは出なかった、 魔法がかったようなサウンドが連続したり、
管楽器奏者が素晴らしいソロを演奏したり。
オーケストラは集団心理が相まって、本番ならではの、 とてつもなく素晴らしい演奏をすることがあります。
サッカーでも、今まで練習でもできなかったような、 ナイスプレーが出れば、チーム全体が盛り上がります。
そんな時、解説者は「今、チームに流れが来てます!」 などとコメントしますよね。
音楽も同様です。
「今日のコンサートは特別だったな」と、 演奏者どうしが感動を分かち合うようなことがあれば、
それは、そこに居合わせるお客様にとっても同じでしょう。
しかし、人間が演奏するのですから、 時には失敗をしてしまうこともあると思います。
サッカーも同じく、 一度起こしてしまった失敗はやり直しができず、
それが観客にもショック、緊迫感を与えます。
「ガーン!エー!!ザワザワ・・」
コンサートには、そんな緊張感や恐怖感のようなものもあります。
リハーサルでは一度も間違えなかったのに、 本番になって間違えてしまうこともあるかも知れません。
でも、そのヒヤヒヤ感も、生だからこそ。
最初から結果を知っていて、試合を録画で観るのと、
どうなるかわからないドキドキを抱えて、 目の前の試合を見るのでは、全然違いますよね。
「臨場感」「緊張感」「集中力」
これらが、コンサートを生で聴くときの醍醐ではないでしょうか。
生のコンサートは、私たちの持つ感覚をフル稼働し、 さらに研ぎ澄ませてくれる、特別な時間ですね!