難しいパッセージや、うまくいかないフレーズを、
「とにかくゆっくり練習しましょう」 と言われることがあると思います。
そう、確実に曲が吹けるための方法は、「ゆっくり練習」です。
ゆっくり練習には 大きく分けて3種類あります。
これから、この3つについておご紹介します。
ゆっくり練習3種とは
ゆっくり練習の目的は、この3つです。
- 「受け入れる」
- 「インプット」
- 「思い出すため」
それぞれを、解説しますね。
①「受け入れる」
初めて見る楽譜に書いてあることを、
「へぇ〜、そうなんだぁ」
と読んでいきます。
いわゆる「譜読み」です。
見たり、吹いたりを繰り返し、
調性、リズム、ABAなどの構成、運指などを知ります。
“この曲で何をしていくのか”を知ることでもあります。
②「インプット」
①で知ったことを、今度は自分にインプットします。
- リズム練習
- メトロノームに合わせる
- 発音を取って、息やお腹だけで吹く
これらを反復練習しましょう。
ゆっくりの中でも、テンポを上げたりします。
「実際の速さでもやってみるけれど、大枠ほとんどゆっくりに時間を費やしている」練習が、おススメです。
その時は“何も考えていない”のではもったいなく、頭でも覚えてしまうように、意識して吹きます。
練習が終わったら、つい口ずさんでしまう、 はたまた夢にも出てくる!?(少々言い過ぎですが・・)
そんな状態なら、効果的な練習ができていると思います。
③「思い出すため」
いわゆる「全体確認」です。
その日初めて曲を練習するとき、全体を通す前、練習を終える前。
または、今日は5分しか吹けない、など時間がタイトなとき。
そんなときは、
「敢えてゆっくりやって、 どういった動きだったかを思い出す」ことで、 効率的な時間を過ごすことができます。
それは部分的でも、全体でもいいと思います。
どこで吸うか、ブリチアルディキーはどこで外すか、
どんな流れで何が出てくるのか、など、
その場所に関する全体です。
「身体で覚えろ!」は正しい?
「身体で覚えること」は、
実は、身体自体とか、 筋肉が記憶しているわけではないそうなんです。
覚えるのは身体じゃなくて、「脳」。
脳は何百億個もの神経細胞でできています。
脳から電気信号が発せられ、それで手足に伝わり、 動作が生じる…
演奏や運動が、良い感覚で行えた時の神経回路を、
脳が記憶していくのだそうです。
つまり、「身体で覚えろ!」の身体は、「身体=脳」 ということになるのですね。
では、どうやって脳に記憶してもらうのか。
専門家は、このようにまとめています。
< 演奏・運動を上達させるための7つのコツ >
- 反復練習
- 練習の目的を考える
- たまには休んでみる
- 成功したら続けてみる
- 練習していなくてもイメージしてみる
- いい動きは応用してみる
- 時折見直す
フルートの演奏は、結構なエネルギーを使うし、ある意味運動に近いものかもしれませんね。
メトロノームは、大きい音で
ゆっくり練習、反復練習のお供である、メトロノーム。
私のメトロノームにまつわるエピソードをご紹介します。
聞こえてくるのは、自分の音か、メトロノームか
昔、普通のメトロノームを使っていました。
チューナーとセットになっているやつです。
そうしたらレッスンで、
「全然音が聞けてない。あなた、 自分の音じゃなくてメトロノームを聞いてるんでしょ!
一番大きい音のメトロノームを買ってさらい直しなさい!」
と言われてしまいました。
帰りに「お店で一番大きい音のメトロノームください」と、
お小遣いのほとんどが消え、かわりに手にしたメトロノーム。
これが爆音すぎて、実家のネコが暴れるだの、家族まで“ なにこの音!?”の雰囲気・・
でも、爆音はいいですよ!!
購入しなくてもいいので、とりあえず、
メトロノームは一番大きい音で鳴らしてくださいね。
おススメです!
いかがですか?
ゆっくりできるものは、テンポが上がってもきれいに吹くことができます。
その意味で、ゆっくり練習は、とても大事です。
でも、時には早いテンポもやってみてくださいね。
そうしてまた、ゆっくり練習に戻る。
自分が今やっている、ゆっくり練習は、3種類のうちどれなのか、 を知ることで、
効率も、メンタル的にも充実感が増していきますよ。
ぜひ、やってみてくださいね!